「最近やけに抜け毛が多い気がする」「掃除してもすぐ毛が落ちている」——8月末から9月にかけて、そんな変化を感じる飼い主さんは少なくありません。
実はこの時期の抜け毛増加は、多くの場合「秋の換毛期」という自然な生理現象です。ただし、換毛期にまぎれて別のサインが隠れていることもあるため、「正常な換毛」と「見ておきたいサイン」を分けて知っておくと安心です。
この記事では、秋の換毛期の仕組みと時期の目安、正しいブラッシングと食事面でのサポート、そして換毛期と皮膚トラブルの見分け方を紹介します。
秋の換毛期とは何か
犬の被毛は、大きく分けて「主毛(オーバーコート)」と「副毛(アンダーコート)」の2種類で構成されています。主毛はかたい毛で水や紫外線から皮膚を保護する役割を持ち、換毛期に大きく生え変わるのは主に副毛のほうです(アニコム損保「犬との暮らし大百科:犬の換毛期について」(獣医師監修))。
秋は、夏の間に生えた「夏毛」が抜け、冬に備える「冬毛」が生え始めるタイミングです(つだ動物病院「愛犬の秋の抜け毛対策!換毛期のブラッシング方法と頻度を獣医師が解説」)。
換毛期があるかどうかは犬種によって差があります。柴犬・コーギーなどの「ダブルコート」犬種は主毛と副毛の両方を持つため換毛期による抜け毛が目立ちやすい一方、トイ・プードルなどの「シングルコート」犬種は換毛期そのものがなく、抜け毛が少ない傾向にあるとされています(同上・アニコム損保)。柴犬・ゴールデンレトリーバー・ラブラドールレトリーバーはダブルコートの代表格で、秋のこの時期に抜け毛が増えやすい犬種です。
いつ・どれくらい続く?
犬の換毛期は、春〜7月ごろと秋〜11月ごろの年2回あり、それぞれ1ヶ月ほどかけて毛が生え変わるとされています(アニコム損保)。今の時期に抜け毛が増えているなら、この秋の換毛期に該当している可能性が高いといえます。
また、室内飼育の犬は空調などの影響で換毛の時期が本来のリズムからずれることもあると言われています。「秋なのにまだ抜けが少ない」「思ったより長く抜け毛が続く」といった個体差が出やすいのも、室内飼育ならではの特徴です。
正しいブラッシングでケアする
換毛期のケアの基本は、こまめなブラッシングです。目安の頻度は毛の長さによって異なり、短毛種は週2〜3回程度、長毛種は毎日のブラッシングが推奨されています(つだ動物病院)。
ブラッシングを行うときは、毛流れに沿って背中→お腹→足としっぽ→顔周りの順に、優しく進めるのが基本です(同上)。無理に引っ張らず、犬が嫌がる様子があれば途中で切り上げて短時間を複数回に分ける方が、犬にとっても負担が少なくなります。
毛流れに沿った定期的なブラッシングは、抜け毛や毛玉のケア、そして皮膚の血行を保つ習慣として役立ちます。
食事面でサポートする
被毛の主成分はケラチンというタンパク質であるため、良質なタンパク質を摂取することが被毛の健康にとって特に重要とされています(アニコム損保)。また、換毛期は毛の生え変わりでエネルギー消費が増える時期でもあるため、普段よりしっかりした食事を意識したい時期でもあります(同上)。
このほか、オメガ3脂肪酸を含む食事、ビタミンEや亜鉛を含む栄養バランスの良い食事、そして十分な水分摂取が、被毛と皮膚の健康をサポートするとされています(つだ動物病院)。
柴犬のようにダブルコートの犬種では、皮膚ケアを意識した設計のフードを選択肢に入れるのも一つの方法です。全犬種対応でオメガ3系脂肪酸を含むフードを探している場合は、以下のようなタイプも参考になります。
栄養素ごとの詳しい役割や、フード由来と環境由来の見分け方をもっと詳しく知りたい方は、通年で参考になるガイド記事もあわせてご覧ください。
これは換毛期?それとも皮膚トラブル?の見分け方
換毛期であっても、次のようなサインが見られる場合は、皮膚炎やアレルギーなど別の原因が隠れていることがあります。
- 換毛期が終わったはずなのに抜け毛が多いまま、あるいは主毛まで抜けている
- 体を痒がる様子が続いている
- 赤みや腫れがある
- フケや湿疹が出ている
- 引っかき傷やかさぶたがある
こうした症状は、皮膚炎やアレルギーなどの可能性があるとされており、気になる場合は早めに動物病院で相談することが推奨されています(アニコム損保/つだ動物病院)。特に換毛期は皮膚の状態が変化しやすく、膿皮症のような皮膚炎も発症しやすい時期とされているため、「換毛期だから」と自己判断で様子を見続けず、いつもと違うサインに気づいたら早めに相談するのが安心です。
こんな場合は動物病院へ
以下のような様子が見られる場合は、自己判断で様子を見続けず、早めにかかりつけの動物病院に相談してください。
- 換毛期が終わっても抜け毛が減らない、あるいは主毛も抜けている
- 強いかゆみが続いている
- 赤み・腫れ・フケ・湿疹・かさぶたがある
- 地肌が見えるほど毛が薄くなっている部分がある
これらは診断名を確定できるものではありませんが、換毛期以外の原因が隠れているサインの可能性があります。心配な様子があれば、無理に自宅で様子を見ず、早めに相談することが愛犬にとっても安心につながります。
まとめ:正常な換毛のサイン/受診を検討したいサイン
| 状態 | 目安 |
|---|---|
| 正常な換毛のサイン | 副毛が中心に抜けている・1ヶ月ほどで落ち着く・皮膚に赤みやかゆみがない |
| 受診を検討したいサイン | 換毛期後も抜け毛が続く・強いかゆみ・赤み/フケ/かさぶたがある・地肌が見えるほど薄くなっている |
秋の抜け毛の多くは、冬に向けた自然な換毛です。ブラッシングと食事の両輪でケアしつつ、いつもと違うサインに気づいたら早めに動物病院へ相談するようにしましょう。
毎日のブラッシングや食事の様子は、記録しておくと「いつもと違う」に気づきやすくなります。papyoneの記録機能もぜひ活用してください。
※ 皮膚の状態やかゆみが気になる場合は、自己判断で様子を見続けず、早めにかかりつけの獣医師にご相談ください。
